論文紹介 2025.03.04
今回はAI(人工知能)による受精卵の評価と、人間による受精卵の評価について比較した論文を紹介させていただきます。
Deep learning versus manual morphology-based embryo selection in IVF: a randomized, double-blind noninferiority trial
Illingworth, Peter J., et al., Nature Medicine, 2024
近年、AIを用いた受精卵の妊娠予測スコアを算出するツールが開発され、広く臨床で用いられるようになりました。
当院でもiDAScoreTMというAIによる受精卵の評価ツールを導入しております。
AIによる受精卵の評価ツールは臨床応用されてからまだ数年しか経っておらず、その有効性について様々な施設で検討が行われています。
今回紹介する論文はオーストラリア、ヨーロッパの14施設で行われた研究になります。
2020年1月から2022年9月に対象施設で採卵、胚移植を行った症例が対象となります。
まず胚盤胞になった受精卵の形態評価を胚培養士が行いました。
その後に研究群はiDAScoreTMを用いて受精卵のスコアリングを行い、一番高いスコアの受精卵から移植しました。
一方、対照群は胚培養士による形態評価のみ行い、形態評価が最も良好な受精卵から移植しました。
その結果、臨床妊娠(妊娠7~9週で心拍が確認できた状態)となった症例は、研究群では533人中248人(46.5%)、対照群では533人中257人(48.2%)であり、両群の差は認められませんでした。
つまり、今回の結果ではAIによる受精卵の評価と、人間による受精卵の評価について差はないということが分かりました。
また、形態評価にかかる時間について解析を行ったところ、AIによる評価は観察する受精卵の個数に関わらず、人間による評価よりも10倍速く評価することができたそうです。
当院でもiDAScoreTMを使用しておりますが、胚培養士による受精卵の形態評価を第一に優先し、iDAScoreTMによるスコアは補助的に活用しております。
例えば、同じ形態評価の受精卵が複数凍結できた際に、スコアが高い受精卵の移植優先順位が高くなります。
AIによる受精卵の評価に関しては日々様々な研究がなされております。
私たち培養部スタッフも最新の知見を得て、治療に還元できるよう努めて参ります。
iDAScoreに関するコラムも合わせてご覧いただけますと幸いです。
京野アートクリニック仙台
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