論文紹介 2018.10.09
不妊治療中にどのような食事を意識すれば良いのでしょうか。
女性に関しては以前看護部のコラムでも紹介されていましたが、男性に関する食事のガイドライン等はこれと決まったものがありません。
今回ご紹介します論文では男性の食事パターンと主に精液所見の関係について世界中からの研究結果を総括し、不妊治療に効果的な食事パターンについて考察しているものになります。
海外では、肥育ホルモンを多量に投与、含有した乳製品、牛肉が流通しています。過去の文献ではこれらの食品は有害であるとの報告がありました。
しかし新しい報告では、乳製品の摂取について、低脂肪乳製品の摂取をした男性で精子濃度の改善が見られたと報告するもの、低脂肪の有無にかかわらず乳製品の摂取は精液の質へ影響がないことを報告するものがあるそうです。このことに関してはこれからもより多くのデータでの検証が必要とされています。
食事パターンについては、北アメリカ、ヨーロッパ、中東と東アジアの研究報告から、良好な精液所見が見られるとした以下のような研究報告があります。
このような食事をきちんと摂り続けることで、精子DNA断片化の低下が見られるという報告もあるそうです。
魚介類を食べることは精子にも、健康にも良い効果がありますが、魚介類とともに摂取されるメチル水銀は、摂取量が多い場合精液所見に悪影響を及ぼすとの報告があります。しかし、魚の種類によってメチル水銀含有量の多いもの(キンメダイ、メバチマグロなど)、少ないものがあります(サケ、サバ、タイなど)ので、魚介類を食べる頻度や種類など偏らずに選んでいくことが重要なようです。
高脂肪、赤肉または加工された肉、精製した小麦などの穀類、お菓子と加糖飲料などの摂取割合の高い食事は、精液所見の低下と関係していると報告されています。
食事と男性の精液所見の関係性だけではなく、妊娠率、出生率まで含め男性の生殖能との関係性を説明するにはまだまだより多くの研究が必要とされています。
今回男性にとって良いとされる食事に地中海料理が挙げられていましたが、こちらは不妊治療中の女性にも良いとされる報告があります。また、好ましいとされる食事に挙げられていた魚介類、家禽、穀物、豆類などを中心とした和食でも十分効果が得られるのではないでしょうか。
不妊治療中の食事について、あまり意識しすぎてしまいストレスになってしまうのも良くないですが、日々の参考としていただければと思います。
仙台培養部 菊地
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