体外受精をするときと同様に、卵巣刺激を行い、卵巣内で複数の卵子を発育させ、採卵し、未受精の状態で凍結保存することを指します。未受精卵子凍結には、医学的な適応と社会的な適応があります。
がんや白血病などの悪性腫瘍の治療の過程で、薬の副作用により将来の妊娠する力が損なわれる危険がある場合に、前もって卵子を凍結しておくことです。治療の前に、凍結保存した卵子の数だけ妊娠する力が温存されるという考え方です。
受精卵の凍結に比べると、患者さまが未婚の場合、パートナー不在であっても治療ができること、多くの成功例が報告されていることから、その安全性については大きなメリットがあると言われています。
当院でも2001年に仙台院において医学的適応による妊娠・出産に初めて成功し、その後合計116人以上の赤ちゃんが誕生しています。
医学的適応の患者さまにおいては、緊急性を伴う場合もございますので、お電話でお知らせください。
健康な状態でありながら、将来に備えて未受精卵子を凍結しておく、というのが社会的適応という考え方です。
お薬を使っての卵巣刺激や採卵という手術を行いますので、リスクが伴います。そこで、当院で社会的適応の卵子凍結を実施していただくためには、正しい知識を身につけたうえで選択していただきたいと考えております。
日本産科婦人科学会より、解説動画が出ておりますので、よろしければご参照ください。
https://www.jsog.or.jp/modules/committee/index.php?content_id=302
卵子凍結をするには、おおむね体外受精をする場合と同じ流れで、受精の前までの部分のみ進行していきます。
基礎的な検査・問診の後は以下のように進んでいきます。
卵子1つあたりの妊娠率は、5%程度といわれており、未受精の卵子であるため、できれば15-20個の卵子を凍結しておくことが望ましいとされます。
凍結についての注意点について融解後の再凍結は原則実施いたしません。採卵時に凍結本数等についてご相談いただき、決定ください。
卵子凍結は、体外受精と同様に治療を行うことで注意すべき点があります。
主な副作用として考えられるのは、卵巣刺激を行うことによる卵巣過剰刺激症候群です。
排卵誘発剤の投与により卵胞が過剰発育し、黄体期に卵巣肥大、腹水貯留等による多彩な病状を呈する症候群をいいます。
発生頻度は10%程度で多くの場合は軽症ですが、まれに深部静脈血栓症など、生命に関わる重篤な場合も起こりえます。
この卵巣過剰刺激症候群の予防のために、当院では、hMG(FSH)の注射の量を減らしたり、アンタゴニスト法や低刺激法の採卵前のhCG注射の代わりに点鼻薬を用いることもあります。
また、黄体補充に原則としてプロゲステロンのみを投与するなどしています。
その他には、採卵に伴う合併症、麻酔に伴う合併症、薬剤アレルギーなどが考えられます。
治療を検討される際には、こうしたリスクも十分に考慮し、不明な点は医師やスタッフまでお問い合わせください。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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