妊娠について大きくかかわってくるのは、受精卵と母体です。
ここでいう母体とは、主に受精卵が着床する子宮内の環境を指しています。
当院では、妊娠に関わる要素は受精卵側に6割、子宮内環境に4割程度あるのではないかと考えています。
そのため、主に子宮内環境の治療・検査を行うのは、当院で治療されていて、2回以上良好胚を移植してもうまくいかない方(反復着床不全)や繰り返して流産されている方が主な対象となります。
当院で行っている子宮内環境の治療と検査は以下があります。
ERA(子宮内膜受容能検査)は着床のタイミングが合っているかどうかをチェックする検査です。
2013年にスペインのグループから子宮内膜受容能力検査についての論文が発表され、ERAの検査で、25%の患者が”非受容的(non-receptive)”ということは、つまり、胚移植実施予定の日に子宮内膜が受精卵を受け入れる状態にない、ということが示されました。
反復着床障害で悩まれている患者様は着床のタイミングがズレている可能性が考えられます。
そうした最適な移植時期を調べる検査がこのERAです。
当院では早くからこの検査を実施し、様々な学会などで発表をしています。
従来無菌と考えられてきた子宮内にも実は様々な細菌が一定のバランスを保ちながら存在していることが分かってきています。
この子宮内細菌叢(フローラ)環境の乱れ、簡単に表現すると子宮内の善玉菌(ラクトバチルス)が減少している方は、着床からその後の生児獲得に至るまで影響を与えているという報告が複数なされています。
こうした子宮内最近環境を検査し、結果に応じて抗生剤やサプリメント等を使用して子宮内フローラを健全な状態にしていくのが、子宮内フローラ検査の目的です。
慢性子宮内膜炎(CE)は着床障害との関係性が指摘されており、
CE治癒後には妊娠成績が向上するという報告もなされています。
CEを発見し治癒することは、着床障害に対しての有効な治療となる可能性があります。
具体的な進め方として、黄体期に、専用の機器を用いて、子宮内より検体を採取します。
当院にて検査を依頼し、おおよそ10日前後のうちに検査結果が出ます。
CEの発生には細菌感染が原因ともされているため、同時に、子宮内フローラ検査を行うことを当院では推奨しています。
検査した結果、CEが確認された場合には、診察の上で、抗生剤の投与などを行います。
CEが確認されなかった場合は、この検査に基づく追加の治療はありません。
上記で紹介している
というのを一度に行うことが出来る検査が、このEndomeTRIO検査です。
子宮内の環境は、複雑に相互に関係している可能性が高く、網羅的に検査する必要性が考えられています。
反復着床不全の原因の一つとして免疫異常が考えられており、
その一つが 1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)の比率の異常です。
ヘルパーT細胞の働きには様々なものがありますが、妊娠・出産に限って、端的に表現すると、Th2が優位な状態では着床・妊娠継続しやすいと考えられており、Th1が優位な状態では着床・妊娠継続しにくいと考えられています。
通常の妊娠は、Th2優位な反応と考えられていますが、反復着床不全のケースでは、Th1が優位となっている方がいます。
採血によって、Th1/Th2の比率を測定し、Th1高値の方へはタクロリムスや漢方薬などを用いた治療を実施していきます。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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