男性不妊のあるカップルは全体の半数に及びます
精巣で精子を作る力が低下 | 精索静脈瘤:30.2% 染色体・遺伝子異常など:10.1% 原因不明(特発性):42.1% |
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勃起や射精の問題 | 勃起障害:6.1% 射精障害:7.4% |
精子の通り道が詰まっている | 閉塞性無精子症:3.9% |
平成27年 厚生労働省「男性不妊調査」より
問診 | 精巣の病気や手術・けがの有無 持病や内服している薬の確認 性の悩み等 |
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精巣超音波 | 精巣の超音波検査で腫瘍や精索静脈瘤の有無を確認 |
ホルモン検査 | 精巣を刺激するホルモン(FSH・LH) 男性ホルモン(テストステロン) 女性ホルモン(エストラジオール) 乳腺刺激ホルモン(プロラクチン) |
抗精子抗体 | 精子を止めてしまう抗体を持つ方がいます。 その場合は精子がすぐ止まってしまい、卵子に自力で入っていくことが難しくなります。 |
問診・超音波は当日その場で行います。ほかの検査は採血となります。
検査項目(WHO2010) | 基準値 | 症状 |
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精液量 | 1.4mL 以上 | |
精子濃度 | 1600万個/mL 以上 | 乏精子症、無精子症 |
精子運動率 | 40% 以上 (うち8割が前進運動精子) |
精子無力症 精子不動症 精子死滅症 |
正常形態精子 | 4% 以上 (=奇形率96%未満) |
精子奇形症 |
精液中白血球 | 100万個/mL 未満 | 膿精液症 |
色調 | 乳白色 |
精索静脈瘤は精巣から心臓に血液が帰るための血管(静脈)が逆流・うっ滞することで精巣の機能が低下する状態をいいます。
本来は精巣から腎臓の静脈(左)もしくは下大静脈(右)に戻る血液ですが、静脈は圧が低いので弁で受け止めながら”うねり”(蠕動)で血液を押し上げます。
その弁の機能が弱いと踏ん張った際などに逆流を起こしてしまい、精巣に血液がたまり、血の巡りが悪くなっているのが精索静脈瘤です。
すべての臓器は、動脈から血液によって酸素や栄養が運ばれ、老廃物を交換します。
スムーズな血流があることによって機能を維持しています。
精索静脈瘤は戻っていくべき血液がうっ滞することによって、精巣の酸素交換がうまく行えず、酸化ストレス物質(老化物質)がたまります。そのため精巣の機能が落ちて男性不妊症の原因になります。
当院で行っている手術は日帰り局所麻酔での顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術となります。
鼠径部(ペニスの付け根の横)を2-3㎝程度切開し、精索静脈がふくまれる精索という直径1㎝程度の組織を引き出します。
精索の中には逆流している静脈のほかに、残さなければいけない動脈・精管(精子の通る管)・リンパ管・神経などが絡まって入っています。それを手術用の顕微鏡で一つ一つばらばらにし、切るべき静脈だけを縛ります。
一般的なこの手術のやり方では、精管と動脈1本、リンパ管数本が確保できたら他はすべて結紮するため、30分程度で手術は終了します。しかしこの方法では残せる動脈を縛ってしまう危険があります。精巣の血行を落とさないために、すべての血管を確認し、動脈をできる限り温存する当院の方法では、片側1時間程度の手術時間をいただいております。
当院手術料金 | 手術料金 保険診療 |
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片方につき、37500円(12500点)に加え、麻酔代、薬代などで、自己負担額は45000円程度となります。(場合によって薬などの使用料が多少前後するので、多少変動します) 術前と3か月後にホルモン検査、精液検査、触診、超音波で検査を行います。この検査は場合により一部自費となります。 |
初めて行った精液検査で精子が見つからなかった。
⇒精子は濃度が薄いと顕微鏡の視野に入らないことがあります。
当院では遠心して精液の内容物を集めて精子を検索します。
数回検査を行い精子が見つけられない場合は無精子症と診断します。
無精子症の場合はホルモン検査、精巣超音波検査、抗精子抗体、染色体検査、遺伝子検査などを行い、原因を絞り込み、精子の回収率を予測します。
閉塞性、非閉塞性の場合は精巣から精子を回収する手術を行います。
精子回収手術はMicro TESE、Simple TESEがあり、診断によって術式を決めます。ともに局所麻酔での日帰り手術です。
下垂体性の場合はホルモン補充療法などで精子の出現を待ちます。
当院で行っている手術は日帰り局所麻酔での精巣内精子回収術となります。
陰嚢の付け根のMicroTESE、Simple TESEともに、麻酔方法は同様です。
精巣の付け根と、切開部に麻酔を行います。麻酔は3時間程度効果があるので、手術時間中に切れることはありません。
麻酔に伴う合併症(呼吸抑制や血圧低下)のリスクがありますので、アレルギー既往のある方は事前に必ずお伝えください。
重篤なものでは徐脈やアナフィラキシーショックが挙げられます。
当院ではそうした緊急時のマニュアルを完備し、定期的に職員訓練を実施しております。症状が重篤で当院で対処できないと考えられる際には、高次医療機関に救急搬送することもあります。
また、Micro-TESEを実施した場合、手術後しばらくして精巣が小さくなる可能性があります。
同手術をお受けになる患者さまは元々男性ホルモンを産生する能力が弱いこともあり、将来男性ホルモン療法を開始する時期が早まる可能性もあります。
個人差がありますので詳細は医師の診察時にお尋ねください。
当院では術後も定期的に男性ホルモン値の測定や精巣の状態の確認をお受けいただくことを推奨しています。
Simple TESE | 精巣を5㎜~1㎝程度切開して、精巣の組織を一部採取し、精子を検索します。 回収ができない場合や、精子の条件が悪い場合などはMicroTESEに移行することがあります。 |
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Micro TESE | 精巣を精巣の外に出し、横に切開し、精巣の中の精細管を手術用顕微鏡で検索します。 精細管の太い部分に精子が認められやすいため、より太くい部分を選択的に採取し、精子を検索します。 |
その他、当院では以下のようなご相談もお受けしております。
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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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