ここでは不妊原因の検査内容について簡単に紹介します。
ホルモン検査
女性の体は月経や排卵が視床下部-下垂体-卵巣からのホルモンによってコントロールされています。月経周期にあわせて採血の検査をします。
月経開始2~4日 (基礎値) |
LH- |
黄体化ホルモン |
| FSH- |
卵巣刺激ホルモン(卵巣に卵子を成熟するように伝えます) |
| PRL- |
プロラクチンと乳汁分泌ホルモンですが、高いと排卵や着床に影響を及ぼすことがあります。 |
| E2- |
卵胞ホルモン(女性ホルモン) |
| 排卵直前 |
LH- |
排卵日に高値を示すので、排卵の時期がわかります。 |
| E2- |
卵胞の成熟具合がわかります。 |
| 排卵後5~7日 |
E2- |
子宮内膜を厚くするように指示します。 |
| P- |
プロゲステロンとよばれるホルモン。子宮内膜を厚くして、着床に備えます。 |
AMH検査
卵巣に残されている卵子の数を推し量る検査で、採血で測定します。
月経中の時期は問いません。

年齢によりかなり誤差がある検査で、卵子の数を推測することができます
(質は反映されませんのでご注意ください)
AMHが高すぎる場合、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)などの疑いがあり、低すぎる場合には、早発閉経の可能性も示唆されます。
子宮卵管造影(HSG)
子宮の中に造影剤(レントゲンに反応する液体)をいれて、レントゲン透視・写真で卵管の通過性をみる検査です。当院では自動注注入機を採用しており、通常、痛みはほとんどありません(個人差があります)。
子宮卵管造影検査では
- ① 卵管の通過性
- ② 卵管周囲の癒着の可能性
- ③ 子宮腔の形態
などがわかります。
- ※
- ただし、癒着の有無の確定診断にはなりません。
- ※
- また、卵管が通っていても、卵巣から排卵された卵子が卵管に取り込まれているかどうかについては、この検査ではわかりません。

- 参考)卵管通水検査
- 造影剤アレルギー、ヨードアレルギー、甲状腺異常がある方の一部など、子宮卵管造影の造影剤が使えない場合、「通水検査」といって、子宮内にチューブで生理食塩水を入れ、超音波で卵管通過の有無を確認することもあります。該当する場合には、FTの適用でOKのケースもあります。
フーナー検査

性交渉の後に、妻の頸管粘液中に夫の運動精子があるかどうかをみる検査です。
相性テストともいえるもので、ここで精子が少なかったり、動いていないと免疫異常が疑われます。
ヒューナーテストは頸管粘液の分泌の多い排卵直後に行う必要があります。
- フーナー検査(ヒューナー検査ともいいます)は、排卵直前に、性交をしていただき、おおむね12時間以内に頸管粘液中の精子の生存状況を確認します。
- 検査当日の朝の性交渉が理想的ですが、朝の性交渉は困難であることも多いため、前日夜の比較的遅めの時間に性交渉をなさっていただければ問題ありません。
該当する場合には、人工授精等のステップアップが必要です。
頸管粘液検査(排卵直前)
- 卵胞チェックを行う時に、頸管粘液検査を行います。
- 超音波検査の結果と、頸管粘液の量、状態(色、粘稠性など)を合わせて、排卵のタイミングや自然妊娠の可能性をみます。
- 排卵直前であるにも関わらず、頸管粘液が少ない、粘稠性は低いなどの場合は、自然妊娠の可能性が低下するので、人工授精が有効です。
- クロミフェン(クロミッド、セロフェン)により頸管粘液は減少します。
超音波検査
子宮や卵巣の状態を見る最も基本的な検査です。
女性の超音波検査は、経膣的に超音波断層装置を使って、子宮や卵巣に異常がないか、また卵胞の数、大きさを確認したり、子宮内膜の厚さをみたりします。
男性の超音波検査は、精巣の容積や精索静脈瘤の有無、精路(精路の通る道)の閉塞の疑いを確認します。
- 子宮内膜の厚さ
- 卵胞の大きさ(排卵日の予測)
- 子宮筋腫の有無
- 子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢腫)
の有無などが分かります。
そのほか、卵巣の状態の検査にはホルモン検査などもあります。

子宮鏡検査(月経以外の時期)

- 子宮鏡では、ポリープや子宮筋腫などの異物や子宮形態異常の有無が分かります。
※ただし、子宮着床の能力が直接わかるものではありません。
- 超音波検査で異常がなければ、ほとんどの場合、子宮内には問題ありません。
- 子宮内に、子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫があると妊娠率が低下し、大きな子宮粘膜下筋腫や子宮奇形があると流産率が上昇することがあります。